top of page

レコーディング音質を左右する“見えない要因”:クロックとジッター徹底解剖

  • 執筆者の写真: STUDIO 407 酒井崇裕
    STUDIO 407 酒井崇裕
  • 2025年8月25日
  • 読了時間: 20分

I. はじめに:ADコンバータ - デジタル忠実度へのゲートウェイ


アナログ・トゥ・デジタル(AD)コンバータは、アナログオーディオ信号をレコーディングやプロダクションのためにデジタル領域に取り込む最初の、そして極めて重要なステップです。ADコンバータは、デジタルオーディオチェーン全体の潜在的な忠実度を決定づける基盤としての役割を担っています。コンバータの品質には多くの要因が寄与しますが、その中でもタイミング機構、すなわち「クロック」の精度は、音質最適化に関して頻繁に議論され、論争の的となるテーマです。本レポートでは、特にクロックとジッターの問題に焦点を当て、ADコンバータがレコーディングの音質にどのように影響を与えるか、そしてその品質を向上させるための技術的背景と実践的なアプローチについて、プロオーディオ分野における知見を交えながら深く掘り下げていきます。



II. デジタルオーディオの心臓部:ADコンバータクロックとジッターの理解


A. サンプリングプロセスとクロック


デジタルオーディオの根幹をなすのはサンプリングプロセスです。これは、アナログ波形を一定の時間間隔で離散的に測定(サンプリング)し、その時点での振幅値を数値データとして記録するプロセスです。この正確な時間間隔を規定するのが「サンプリングクロック」であり、デジタルオーディオシステムにおけるメトロノームのような存在と言えます。例えば、48kHzのサンプリングレートでは、1秒間に48,000回の正確なタイミングでサンプリングを行う必要があり、96kHzではその倍、1秒間に96,000個の信頼できるデータポイント(サンプル)を生成し、それぞれを例えば24ビット長の数値で正確に表現する必要があります。音質向上においては、クロックとジッターの理解が大切になってきます。

理想的なクロックは完璧な周期で信号を刻みますが、現実のクロックはわずかに進んだり遅れたりすることがあります。このタイミングのずれが「ジッター」です。理想的なメトロノームと、リズムが不安定なドラマーを比較すると理解しやすいでしょう。

現代の高性能AD/DAコンバータの多くは、ΔΣ(デルタシグマ)変調方式を採用しています。これは、実際のサンプリングレートよりもはるかに高速なレートでサンプリングを行う「オーバーサンプリング」と呼ばれる技術です。この方式は、高性能なコンバータを比較的容易に実現でき、人間の可聴範囲内の量子化誤差を最小限に抑えやすいといった利点がありますが、依然として基準となる安定したベースクロックの精度に依存しています。


ADコンバータとクロック技術の基礎

B. クロックジッターの定義


クロックジッターとは、一般的に、想定される周期的な信号からの望ましくないタイミングのずれを指します。デジタルオーディオにおけるサンプリングジッターは、サンプリングに使用されるベースクロックで発生するタイミングエラーです。これは、クロック信号が理想的なタイミングからわずかに前後することを意味します。重要なのは、この「ジッター」という用語が、音楽的なリズムや揺れではなく、AD変換プロセスそのものを司る高周波クロック信号の安定性に関わる技術的な問題であるという点です。現実世界のあらゆるデジタルシステムには、程度の差こそあれ、必ずジッターが存在します。


C. ジッターの発生源


サンプリングジッターの原因は多岐にわたり、製品の部品の問題から設計上の問題まで、様々な複雑な要因が絡み合って発生し得ます。デジタルオーディオシステムにおけるジッターの主な発生源は、サンプリングクロックの生成方法に大きく依存します。

  1. 水晶発振器(Crystal Oscillator)などを用いた直接生成:水晶発振器や原子時計のような、規則的に発振するデバイスを追加の電子回路と共に使用する方法です。この方法は、投入される労力とコストに応じて、非常に高精度(低ジッター)なクロックを生成できます。多くの高品質なオーディオインターフェースの内部クロックは、この方式を採用しています。

  2. PLL(Phase-Locked Loop)を用いた生成:低い基準周波数から高い周波数を生成したり、外部からのクロック信号に同期(ロック)させたりするためにPLL回路が使用されます。例えば、48kHzのクロックを得るために、より低い基準周波数からPLLを用いて512倍の24.5760MHzといった高速なクロックを生成することがあります。PLLの性能は大幅に向上し、ジッターを低減する技術も多数存在しますが、原理的に水晶発振器から直接生成されるクロックと比較すると、依然としてジッターレベルは高くなる傾向があります。特に、入力周波数と出力周波数の差が大きいほど、また、入力される基準信号(外部クロックなど)にジッターが含まれている場合、生成されるクロックのジッターは増加します。

  3. インターフェースの依存性:一部のオーディオインターフェース、特に古い世代のUSB接続デバイスなどでは、ホストコンピュータのクロックに依存して動作するものがありました。これらの場合、コンピュータ側の比較的安定性の低いクロックを基準にPLLを用いてオーディオ用クロックを生成するため、ジッターが多く発生する可能性がありました。しかし、現代の多くのUSBオーディオデバイスは「アシンクロナス(非同期)モード」をサポートしており、ホストコンピュータのクロックとは独立した、デバイス自身の高精度な内部クロック(多くは水晶発振器ベース)で動作できます。これにより、低ジッターで高性能なAD/DA変換が可能になっています。

このように、クロック生成回路の設計(水晶発振器の直接利用か、PLLによる派生/同期か)とシステムアーキテクチャ(内部生成か、PLL経由の外部同期か)が、ADコンバータの基本的なジッター性能を直接的に決定づける要因となります。高品質な発振器を用いた適切に設計された内部クロックは、特に単一デバイスのシナリオにおいて、PLLを介した外部同期に依存するシステムよりも優れた性能を発揮しうることを示唆しています。


ジッター問題の詳細分析


III. 音への影響:ジッターがAD変換品質に与える影響



A. 音質劣化のメカニズム


タイミングエラーであるジッターは、ADコンバータがアナログ波形をサンプリングする瞬間を誤らせます。理想的なタイミングからずれた時点でサンプリングが行われると、その瞬間のアナログ信号の振幅値が不正確にデジタルデータ化されてしまいます。これは、元の波形とは異なる形状のデジタル信号が生成されることを意味します。

この不正確なサンプリングは、デジタルオーディオ信号に歪みやノイズとして現れ、元の滑らかなアナログ信号からの逸脱を引き起こします。ジッター量が増加するにつれて、これらのエラーも増加し、結果としてデジタル化された信号の忠実度が低下します。逆に、ジッターが減少し、サンプリングクロックが理想的なクロックに近づくほど、エラーは減少し、元のアナログ信号がより忠実にデジタル信号に変換されます。最終的にDA変換を経てアナログ信号に戻される際にも、このデジタル段階での歪みが音質の劣化として現れることになります。


B. 可聴性と認識


ジッターがエラーを引き起こすことは技術的な事実ですが、これらのエラーが実際に「聴こえる」かどうかは、より複雑な問題です。その可聴性は、ジッターの量や種類(周波数特性など)、処理されるオーディオ信号の性質(複雑な倍音構成を持つ信号やトランジェントの鋭い信号ほど影響を受けやすい)、そして再生システム全体の品質(DAコンバータ、アンプ、スピーカー/ヘッドフォン、リスニング環境)に依存します。

測定可能なジッターが存在しても、それが必ずしも知覚可能な音質劣化に繋がるとは限りません。これは、後のセクションで議論する主観的な好みと客観的な測定値との間の乖離にも関連してきます。ジッターにはおそらく可聴閾値が存在すると考えられます。多くの現代的な内部クロックが達成しているレベル以下では、さらなるジッター低減が知覚できるほどの利益をもたらさない可能性があります。一方で、ある閾値を超えると、明らかな歪みや不明瞭さといったアーティファクトとして認識される可能性があります。また、ジッターの種類(ランダムジッターか、特定の周波数成分を持つ周期性ジッターかなど)によっても、その音響的なキャラクターは異なる可能性があります。このことは、一部のユーザーが外部クロック使用時の音を(技術的にはジッターが増加している可能性があるにも関わらず)好む理由の一端を説明するかもしれません。それは単なるノイズや歪みとしてではなく、特定の「色付け」として認識されている可能性があるためです。


IV. 大いなる論争:外部ワードクロック - 万能薬かプラシーボか?


ADコンバータのクロッキングに関して、長年にわたりプロオーディオコミュニティで議論されてきたのが、外部マスタークロックジェネレーター(ワードクロック)の使用です。その効果については、意見が大きく分かれています。


A. 主な正当性:マルチデバイス同期


外部マスタークロックを使用する主な、そして技術的に異論のない理由は、複数のデジタルオーディオデバイス(複数のAD/DAコンバータ、デジタルミキサー、デジタルエフェクトプロセッサーなど)を同期させ、すべてがサンプル単位で正確に連携して動作するように保証することです。

複雑なデジタルスタジオ環境では、各デバイスがわずかに異なる時間基準で動作していると、クリックノイズ、ポップノイズ、位相の問題などが発生する可能性があります。外部マスタークロックは、システム全体に単一の正確な時間基準を提供し、これらの問題を回避します。これは、オーケストラ全体を指揮する一人の指揮者の役割に例えることができます。特に、多数のコンバータを使用する大規模なリグ、複雑なデジタル信号のルーティングが必要な場合、あるいは長いケーブル配線が必要な状況などでは、専用のマスタークロックと分配システムが不可欠となる場合があります。このような状況では、各ユニット間の非同期によって引き起こされる可能性のある音響的アーティファクトは、各ユニット内でPLL同期によって生じるわずかな性能低下よりもはるかに深刻な問題となり得るため、システム全体の安定同期を優先することが合理的な解決策となります。これは、かつてアナログテープレコーダーとSMPTEタイムコードを用いて複数台のマシンを同期させていた時代に、長期的な同期(曲全体を通してトラックを合わせる)と引き換えに、短期的な速度安定性(ワウ・フラッター)の悪化を受け入れていた状況と似ています。


B. 論点:単一デバイスの音質向上


論争の中心にあるのは、「単一のAD/DAコンバータの音質を向上させるために外部クロックを使用する」という主張です。

  • 賛成意見(主観的な評価が多い):一部のクロックメーカーや一部のユーザーは、高品質な外部クロックを使用することで、単一のコンバータであっても、その音質(明瞭度、音像定位、奥行き感など)が向上すると主張してきました。経験豊富なエンジニアの中には、外部クロックを使用した際のサウンドを主観的に好むと報告する人もいます。

  • 反対意見(技術的根拠と測定結果に基づく):

    • ジッター増加の可能性: 技術的な反論として、コンバータを外部クロックにスレーブ(同期)させると、その内部クロック(多くの場合、安定した水晶発振器)はPLL回路を介して外部信号にロックする必要が生じます。このプロセスは、原理的にジッターを追加します。具体的には、スレーブデバイスのPLL回路自身のジッター、入力される外部クロック信号に含まれるジッター、そして接続ケーブルによって誘発されるジッターが加算されることになります。したがって、単一のデバイスにとっては、内部クロックを使用することが、ほとんどの場合、最もジッターの少ない(=最も高忠実度な)動作モードとなります。

    • 客観的テスト結果: 外部クロックを単一の高性能なデバイスに接続した場合、音質が改善しないか、むしろ測定可能なアーティファクトや歪みが増加したというテスト結果が報告されています。これには、専門誌のテストやユーザーによる比較テストなどの報告が含まれます。あるテストでは、高価な外部クロックを中級クラスのインターフェースに接続しても、波形上も聴感上も知覚できる差はなかったと結論づけられています。

    • コンバータの品質依存性: 非常に設計の古い、あるいは質の低いコンバータの場合、その内部クロックが極端に劣悪であれば、高品質な外部クロックによって改善される「可能性」は否定できません。しかし、その場合でも、より根本的な解決策は、高価な外部クロックを追加するよりも、より優れたADコンバータ自体に投資することである場合が多いと指摘されています。一方で、非常にハイエンドなコンバータは、優れたクロックリカバリー(スレーブ時の同期性能)を持っているため、外部同期時のジッター増加を最小限に抑えることができるとも言われています。しかし、これは主に複雑な同期が必要な状況での話であり、単一デバイスの原則を覆すものではありません。


C. コミュニティにおける見解


オンラインフォーラムなどでの議論を見ると、プロオーディオコミュニティ内でのコンセンサスや論点がより明確になります。

  • 同期の必要性: マルチデバイス同期が外部クロックの主要な利点であるという点では、ほぼ意見が一致しています。

  • 単一デバイスへの効果への懐疑: 技術的な観点からは、単一デバイスの音質向上効果については懐疑的な意見が支配的です。

  • 主観性の役割: しかし、一部のユーザーが外部クロック使用時のサウンドを好むという事実も無視できません。これは、外部クロック(およびそれに伴うPLL同期)によって付加されるジッターが、特定の種類の色付けや歪みとして作用し、それを主観的に好ましいと感じる場合がある可能性を示唆しています。これは、真空管やトランスが生み出す歪みが「ウォーム」であるとして好まれる現象と類似しているかもしれません。重要なのは、これが技術的な「改善」というよりは、好みの問題である可能性が高いという点です。

  • 自己検証の重要性: 最終的には、自身の環境で実際に試してみることが、唯一の真実を知る方法であると強調されています。他人の意見やレビューを読むだけでは、真の理解には至りません。

  • マーケティングの影響: 一部のメーカーが「外部クロックを使えばどんなシステムでも音質が向上する」といった主張を行ってきた背景も指摘されています。このような普遍的な改善を謳う主張は、客観的なテスト結果や技術的原理としばしば矛盾するため、鵜呑みにせず批判的に検討する必要があります。単一デバイスにおける外部クロックの音質向上効果に関する主張は、技術的根拠が薄いにも関わらず根強く残っており、これは主観的評価、プラシーボ効果(高価な機材を導入したことによる期待バイアス)、そして前述したような(必ずしも忠実度の向上ではない)音色の変化への嗜好などが複合的に作用している結果と考えられます。この「普遍的な音質向上」という特定の主張は、外部クロックが同期という重要な役割を持つにも関わらず、しばしば技術的に根拠のない「神話」や過度の単純化としてコミュニティ内に存在している側面があります。


V. スタジオにおけるAD変換品質最適化のための実践的戦略


これまでの議論を踏まえ、スタジオ環境でAD変換の品質を最適化するための実践的なアプローチを以下に示します。


A. クロック戦略 - 適切なアプローチの選択


クロッキング戦略は、スタジオのセットアップの複雑さに応じて選択することが重要です。

  • 単一コンバータのセットアップ:最もジッターが少なく、最高の忠実度を得るためのデフォルトのベストプラクティスは、コンバータ自身の内部クロックを使用することです。この場合、外部クロックは一般的に不要であり、むしろ音質を損なう可能性があります。

  • シンプルなマルチデバイスセットアップ(例:インターフェース + デジタルプリアンプ):システム内で最も高品質なコンバータ(多くの場合、メインのオーディオインターフェース)をマスターとし、その内部クロックで動作させます。他のデジタルデバイス(デジタルプリアンプ、エフェクターなど)は、ADAT、S/PDIF、あるいはワードクロックBNC接続などを介して、マスターデバイスにスレーブ同期させます。これにより、利用可能な最良の内部クロックを活用しつつ、システム全体の同期を確保できます。

  • 複雑なマルチデバイスセットアップ:多数のデジタルデバイス、複雑なルーティング、長いケーブル配線などを伴う大規模なシステムでは、専用の外部マスタークロックの使用が正当化され、多くの場合、信頼性の高い同期のために必要となります。このような複雑なシステムでは、システム全体の安定した同期を確保することの利点が、適切に設計されたコンバータをスレーブさせることによるわずかなジッター増加の可能性を上回ると考えられます。


B. クロック戦略決定ガイド


以下の表は、一般的なスタジオシナリオに基づいて推奨されるクロッキング戦略をまとめたものです。

シナリオ

推奨クロックソース

主な正当性

潜在的なジッター影響

コスト影響

複雑性

単一デバイス

内部クロック

最低ジッター

最低

なし

シンプルなマルチデバイス (2-3台)

最良デバイスをマスターとして使用

信頼性の高い同期 + 良好なマスタークロック

最小限の増加

複雑なマルチデバイス (多数/複雑な配線)

専用外部マスタークロック

堅牢なシステム全体の同期

管理された増加

表の価値: この表は、ユーザーが自身のスタジオの具体的な状況(デバイス数、ルーティングの複雑さ)に応じて、技術的な議論に基づいた最適なクロッキング戦略とその根拠(ジッター、コスト、複雑性)を迅速に判断するのに役立ちます。これにより、レポートで展開された技術的な議論が、実践的な行動指針へと繋がります。


C. クロック以外への視点(簡単な言及)


クロッキングは重要ですが、ADコンバータ全体の音質は、他の多くの要因にも大きく依存することを認識しておく必要があります。これらには、アナログ入力段の品質(プリアンプ回路など)、使用されているコンバータチップ自体の性能、電源供給回路の設計、そして(該当する場合)アナログ出力段の品質などが含まれます。

アナログテープレコーディングが持つとされる「ウォームさ」やサチュレーションといった特性は、時にデジタルレコーディングにおいても求められることがあります。ADコンバータは本来、正確な変換を目指すものですが、その「サウンド」には、クロック精度だけでなく、アナログ回路部分がもたらす特性も含まれます。また、ポストプロダクション段階でのEQやリミッティング処理も最終的なサウンドに大きく影響しますが、その効果を最大限に引き出すためには、そもそものAD変換段階での高品質なキャプチャが不可欠です。クロッキングは、最終的な録音品質を決定づけるパズルの一片であり、全体像の中で捉えることが重要です。


VI. プロフェッショナルADコンバータ市場の概観と比較


プロフェッショナルなレコーディング現場では、最高水準の音響性能、信頼性、そして多様なワークフローへの対応力が求められます。この要求に応えるため、多くのメーカーがフラッグシップ級のADコンバータやオーディオインターフェースを開発しています。このレベルでは、単なるスペックの優劣だけでなく、メーカーの設計思想、音質のキャラクター、接続性、そしてエコシステム全体が選択の決め手となります。


A. 主要メーカーとモデルの紹介


プロオーディオ市場のハイエンドセグメントは、長年の実績と評価を誇る専門メーカーによって占められています。

  • Apogee Electronics: デジタルオーディオの黎明期から業界をリードしてきたメーカーの一つで、その「音楽的な」サウンドで知られています。Symphony I/O Mk IIは、モジュール式の設計により高い柔軟性を持ち、多くのスタジオで採用されています。

  • Lynx Studio Technology: 透明性と正確なサウンド再現で高い評価を得ています 。Aurora(n)シリーズは、モジュール式の拡張性と、USB、Thunderbolt、Dante、Pro Tools|HDといった多様な接続オプション(LSlotカード経由)が特徴です。

  • Prism Sound: 特にマスタリング業界において、AD/DA変換の「リファレンス」として長年君臨しています。AtlasやTitanといったモデルは、その非常にクリーンで正確無比なサウンドで知られています。

  • Universal Audio: 高品質なコンバータに加えて、強力なオンボードDSPと、ビンテージアナログ機器をエミュレートするUADプラグインのエコシステムを組み合わせることで独自の地位を築いています。Apollo Xシリーズは、レコーディングとミキシングの両方でその能力を発揮します。

  • Merging Technologies: スイスを拠点とし、特にクラシック音楽や映画音楽の分野で最高の解像度と透明性を追求しています。Hapi MkIIなどの製品は、ネットワークオーディオ(RAVENNA/AES67)を核としたシステム構築に強みを持ち、DSDを含む高解像度フォーマットに完全対応しています。

  • Burl Audio: 他のメーカーが透明性を追求する中で、意図的に「色付け」のあるアナログ的なサウンドを提供することで異彩を放っています。B2 Bomber ADCは、独自のトランス入力とディスクリートClass-A回路により、アナログテープのようなサチュレーション感と豊かな倍音を付加します。

  • Antelope Audio: 独自の高精度クロッキング技術(AFC)と、多数のアナログI/O、そして豊富な接続オプションを1台に集約することで知られています。Galaxy 32 Synergy Coreは、その代表例であり、オンボードDSP/FPGAによるエフェクト処理も特徴です。


B. 主要モデルのスペック比較


以下は、各社の代表的なハイエンドADコンバータ(またはインターフェースのAD部)の主要なスペックを比較したものです。これらの数値は、各製品の性能の一側面を示すものであり、最終的な音質は設計全体によって決まることに注意が必要です。


主要メーカ製品の比較表

C. 比較からの洞察


この比較から、プロフェッショナル向けADコンバータの選択が、単一の性能指標だけでは決まらないことがわかります。

  • 透明性 vs キャラクター: Merging TechnologiesとPrism Soundは、測定可能な性能において最高レベルの透明性と解像度を誇ります。これに対し、Burl Audioは意図的にアナログ機器の持つ豊かな倍音と質感を付加する設計思想を持っており、明確なキャラクターを求める場合に選ばれます。ApogeeやLynx、Universal Audioなどは、これらの中間に位置し、それぞれ独自の評価を確立しています。

  • エコシステムとワークフロー: Universal AudioのApolloシリーズは、UADプラグインという強力なエコシステムと連携することで、単なるコンバータ以上の価値を提供します。ミキシングコンソールとの連携やPro Tools HDXシステムへの統合が必須な大規模スタジオでは、Apogee、Lynx、Antelopeなどが提供する多チャンネルかつ多様な接続性を持つモデルが重要になります。

  • 将来性と拡張性: ApogeeやLynx、Merging Technologiesのモジュール式設計は、将来的なニーズの変化に対応できるという大きな利点があります。最初は小規模な構成で導入し、必要に応じてチャンネル数や接続方式を拡張していくことが可能です。


最終的に、プロの現場での選択は、技術仕様、必要なI/O構成、既存のシステムとの互換性、そして最も重要な「サウンドの好み」という、複数の要因を総合的に判断して行われます。


VII. 結論:高忠実度AD変換の追求


本レポートでは、レコーディングにおけるADコンバータの音質、特にクロッキングとジッターの役割について詳細に分析しました。ADコンバータとそのクロッキングメカニズムは、デジタルオーディオの忠実度を決定する上で極めて重要です。ジッターは、測定可能な技術的現象であり、変換の精度に影響を与えうることは明らかです。

外部ワードクロックに関する議論については、以下の点が明らかになりました。

  • 複数のデジタルデバイスを同期させるためには不可欠である。

  • しかし、単一デバイスのセットアップにおいて、音質(忠実度)を向上させる目的での使用は、客観的な測定結果や技術的原理に基づくと、疑問視されることが多く、不要であるか、場合によっては逆効果となる可能性も指摘されています。

  • 一方で、一部のユーザーは主観的に外部クロック使用時のサウンドを好む場合があり、これは技術的な忠実度とは異なる次元での評価が存在することを示唆しています。


クロック戦略とセットアップ指針

実践的な推奨事項としては、スタジオのセットアップの複雑さに応じたクロッキング戦略を採用することが挙げられます。

  • 単一デバイスの場合は、高品質な内部クロックを優先する。

  • シンプルなマルチデバイスシステムでは、最も優れたデバイスをマスターとして使用する。

  • 複雑なシステムでは、信頼性の高い同期のために専用の外部マスタークロックを導入する。

どのような場合においても、メーカーのマーケティング主張を鵜呑みにせず、自身の環境で批判的なリスニングと比較テストを行うことが推奨されます。

最終的に、高忠実度なデジタルレコーディングを実現するための第一歩は、AD変換プロセス、特にスタジオの特定の文脈に適したクロッキング戦略を深く理解し、最適化することにあります。クロッキングは音質を左右する重要な要素の一つであり、その適切な管理は、プロフェッショナルなレコーディング結果を得るための基礎となります。


実践的な音質改善アプローチ

コメント


STUDIO 407 Slogan

卓越した技術と深い音楽性を探究されるハイレベルなピアニスト、そしてすべてのクラシック音楽家の皆様へ。 STUDIO 407は、あなたの演奏表現を、単なる記録ではなく、時代を超えて輝きを放つ芸術作品へと昇華させるための専門レコーディングサービスです。​

【私たちの使命】

私たちの使命は、単に音を記録することではありません。 あなたの音楽に宿る魔法、表現に込めた情熱、そして一音一音に注がれる魂のすべてを深く理解し、受け止めること。その尊い響きを、色褪せることのない最高品質の音源として結晶させ、世界中の聴衆のもとへ届けること。それこそが、私たちの存在意義です。

【私たちが提供する、揺るぎない価値】

最高峰のピアノと、理想を追求した音響空間

コンサートグランドピアノの豊潤な響きを、最も繊細なピアニシモの息遣いから情熱的なフォルテのうねりまで演奏のすべてを忠実に、そして艶やかに描き出します。

音楽的対話でビジョンを共有する、専門エンジニア

私たちのエンジニアは、技術者であると同時に、あなたの音楽の第一の聴衆であり、理解者です。クラシック音楽への深い造詣を基にした「音楽的対話」を通じてあなたの音楽的ビジョンを正確に共有し、理想のサウンドを共に創り上げるパートナーとなります。

演奏家のキャリアを支える、多様な録音プラン

​​​​世界に通用するCD・配信音源の制作、国際コンクール提出用の高品位な録音、そして大切なリサイタルの記録まで。あなたのキャリアにおける、いかなる重要な局面においても、最高のクオリティでお応えします。

あなたの才能を、世界が待っています。 さあ、その素晴らしい音楽を、世界に解き放つ次の一歩を踏み出しましょう。

レコーディングに関するご相談や質問など、どんなことでもお気軽にお問い合わせください。あなたの夢を実現するパートナーとして、私たちが共に歩んでまいります。

事業者名

STUDIO 407(スタジオ ヨンマルナナ)

運営統括責任者

酒井 崇裕

所在地

〒221-0063
神奈川県横浜市神奈川区立町23-36-407

電話番号

090-6473-0859

メールアドレス

ozzsakai@gmail.com

URL

https://www.studio407.biz

ピアノラジオ番組:二人の司会者が収録中
  • Youtube
  • Facebook
  • Instagram
  • note_logo
  • X

​© Copyright 2025 STUDIO 407 

bottom of page