プロトタイプ完成総括 実戦レコーディング投入に向けて ~マイクロ多孔質吸音球体バッフルABステレオ~
- STUDIO 407 酒井崇裕

- 3 日前
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更新日:1 日前
プロトタイプの設定確定:マイクロ多孔質吸音球体バッフルABステレオ
セッティングを変えながら実施した現場でのレコーディングとシミュレーションから導出されたパラメータ設定の変更を経て、いよいよプロトタイプが完成の域にたどり着いてきた。確定した設定項目は以下の通りである。
・マイクの間隔は36㎝とする
・吸音性素材の球体バッフルの直径は24.6㎝のままとする
・マイクはダブルダイヤフラムのモデルを使用し無指向性とする
この設定で、実際のピアノをレコーディングし、「球体有り」と「球体無し」のデータを収録した。

取得したデータはスペクトラム分析を行い、その差異を詳細に分析した。結論から言えば、球体吸音バッフルの有効性が確認され、また、球体24.6㎝のサイズは、聴感上においても好ましい結果となった。これをもって、プロトタイプの修正検討は一区切りをつけ、今後は実践レコーディングの場において積極的な運用をしていくこととしたい。
実運用を進める中で、セッションの形態に応じて、マイク・ヴァリエーション違い、指向性の違いなどを取り入れ、実用における更なる経験を蓄積していく予定である。
本レポートは、確定した設定によって行った実証レコーディングのデータの分析と、このシステムの概要を総括したものである。
2025年11月25日、ピンクノイズを用いた追試験を実施した。
ABステレオでは、原理的にコムフィルターの発生を避けることはできないが、サイレントボールの導入によってその影響が緩和されることが確認できた。
フィルターの影響が現れ始める周波数帯に同期して、ボールによる音響影がIDL(両耳間レベル差)を生じさせ、定位感を補強していく。




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