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執筆者の写真Takahiro Sakai

福島市音楽堂 アルバム・レコーディング 妹尾哲巳さん

更新日:2021年8月21日


3月30日に福島市音楽堂でピアノ作品のレコーディングをしてきました。今回のレコーディングは、誰もが幼い頃から親しんできた日本の歌をピアノ曲にアレンジした内容で、ピアニストは妹尾哲巳さん。日本人の心の原風景を描くような素敵な収録でした。

この作品は福島の地でレコーディングすることに意味がありました。復興支援というのではなく、今現在の福島から音楽を発信したいという強い思いがあり、地元の農家の方々をはじめ、多くの方々に賛同をしていただき、福島の音楽の殿堂、福島市音楽堂でのレコーディングが実現しました。この企画を発案し多方面でご尽力いただいた塚野順子さま、そして賛同いただいた多くの方々に対し感謝の気持ちでいっぱいです。


福島市音楽堂は1984年(昭和59年)開館し、全国のコンサートホールの中でも、響きの豊かなホールとして有名です。残響時間は空席時で3.0秒、満席時で2.5秒と長く、ホールの壁全体に、北陸石川の九谷焼タイルを施し、床には音響効果のため全て桜のムク材を使用しています。

このホールを訪れたアーティストは、マルタ・アルゲリッチ、クリスティアン・ツィマーマン、中村紘子、ユリアンナ・アヴデーエワなど錚々たる顔ぶれ。まさに福島市・音楽の歴史を創ってきたホールです。こんな素晴らしいホールでレコーディングができてとても光栄です。


ピアニストの妹尾哲巳さんのプロフィールを簡単に

島根大学教育学部特別教科(音楽)ピアノを長岡敏夫、横井和子、西岡光夫、S.Seidelhoferの各氏に師事。松江ウインドアンサンブル常任指揮者。同じ曲でも弾くたびにスタイルを変える個性派ピアニストとして知られ、ジャズ、オーケストラとのクラッシクで共演、「ラプソディー・イン・ブルー」「砂の器」などのソリストをつとめいずれも好評を博した。2006年以降、三浦芳男氏と「2台のピアノによるスーパーデユオ」を結成し、マニアックな作・編曲作品によるリサイタルを開催している。

残響時間が長く独特であることから、レコーディングに入る前にマイクセッティングについていろいろ検討して現地に入りました。基本はいつものSTUDIO 407のセッティングなのですが、複数マイクの位置関係をホールの響きに合わせて調整していきます。やはり頭でイメージしていたより実際の音は調整が難しく、ちょっとマイクの位置と角度を変えただけで大幅に響きが変わります。とくに壁面が硬質なタイルであるため、遠くから跳ね返ってくる残響の程度をコントロールするのに苦労しました。



妹尾さんは、初めのサウンドチェックをしただけで、あとは一切プレイバックを聞かず、息もつかせないほどのスピードで演奏していきました。前半戦は1曲ごと各曲、録音ボタンを止めながら進めていたのですが、どんどんテンションが上がっていく様子を見ながら、創作の時間が途切れないよう、後半戦は回しっぱなしにして、私はPCから離れ、客席で聴かせていただく形になりました。やはり、客席で聞くピアノの響きはスピーカーやヘッドフォンで聞くのとは違い、豊かな残響が全身を包み込み、立体的で複雑な音場を肌で感じます。録音している演奏を客席で聞きながら、この音のイメージをどうやって電気的に再現できるのだろうかと考えていました。そして、この音の感じを想起するCDに仕上げるよう、しっかり肌感覚に刻み付けようとしながら聞いていました。

収録した中から1曲、ご紹介します。アルバムは6月下旬全国一斉リリースされるとのこと。今から楽しみです。


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