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ピアノレコーディング、ピアノの響きを理解しよう -成功するピアノの録音①-

  • 執筆者の写真: STUDIO 407 酒井崇裕
    STUDIO 407 酒井崇裕
  • 2014年6月19日
  • 読了時間: 5分

更新日:2月16日


ピアノレコーディング、ピアノの響きを理解しよう -ピアノ録音の難しさ-

前回YAMAHAさんの「即レコ」について書きますと宣言していたのですが、予定を変更しまして、ピアノ録音についてです。といいますのも、先日、「ピアノ教室.net」の運営責任者の方と打ち合わせをする機会があったのですが、ピアノ談義に花が咲き、結局、4時間も音楽とピアノの話で盛り上がってしましました。その時、はやりピアノの録音は奥が深いなぁと再認識しまして、本日は、ピアノの録音について綴ろうと思います。「即レコ」は機会を改めて書きたいと思います。

楽器の王様と言われるピアノですが、レコーディング・エンジニアにとっても、この楽器を録音するのは一段と気合が入ります。ピアノをピアノらしく良い音で録音できるかどうかは、録音する人の技量をみる判断基準の一つだと思います。ピアノがどのような構造になっていて、演奏されるときどのようなメカニズムと原理で発音されるのかを理解することは録音をするにあたっても大切な事柄です。また、ピアニストにとってもよい演奏に繋がることだと思います。

1.ピアノの構造と響き方を理解しよう

まず身もふたもなく結論的に言ってしまうと、ピアノの音を聴くというのは「ピアノ全体」で織りなされた音と設置された会場全体の響きを体験することです。当たり前といえば当たり前なのですが、ピアノ全体でのところをカッコ書きにしているのは、ピアノを構成する各構造体が時間とともに動的に音を織りなし、豊かな音を生み出しているというイメージを強調したかったからです。ピアノの構造について説明し出すと、ピアノの歴史や文化的背景(演奏者と聴衆の関係)、作曲家と演奏者のピアノに対する要求とイノベーションの変遷など、欠かせない話が山ほどあるのですが、ここではあっさりと現代ピアノの構造体と音について簡単に説明したいと思います。

1-1.ピアノのつくりを知ろう。【構造と響き】

まず、ピアノの構造を簡単に。YAMAHAさんとKAWAIさんのサイトにある図を合わせてご覧いただくと分かり易いと思います。宮地楽器さんのサイトにあるベーゼンドルファーのピアノ造りの図も参考になります。

1-2.鍵盤が押されてから辿る音の響き

どの構造体も良い音を出すピアノには大切なのですが、とりわけ、ハンマー、弦、響板、フレーム、ケース(外枠の部分)、支柱枠、支柱がピアノの響きにとって大切になります。これを踏まえて、演奏時にどのように響きが生み出されるかを時間軸(厳密には言えませんが)に沿って眺めると。

①演奏者の指と鍵盤で生じる演奏ノイズ

②ハンマーと弦がぶつかる衝撃音(ノック音)

③弦が振動する音

④フレーム(鉄骨)が響く音

⑤響板が響く音

⑥ケースが響く音

⑦支柱・支柱枠が響く音

⑧ピアノの足を伝わってステージへ伝わる固体振動

大きな要素はこのようになります。これに加え、実際の演奏では、ペダル操作が加わります。ソフトペダル(シフトペダル)によるハンマーのフェルト面と弦の接触差異による音色変化とダンパーペダルによる共鳴を伴う響きが生み出されるので、まさに時間とともに変化していく複雑系になっているわけです。ちなみに、①ですが、できるだけ演奏ノイズを出さないよう無駄のないタッチで弾くよう指導される先生もいれば、あまり拘らない方もいらっしゃるようです。⑤の響板は、テンションをかけ湾曲させてあり(クラウンと言います)ピアノをよく響かせる役割を持たせてあります。

2.さらにピアノを知る 【木の楽器・ピアノ】

ピアノは強固な金属でできたフレームが組み込んでありますが、全体的に言って木の楽器であり、木を硬く乾燥させる技術や木目の方向や組み合わせによって豊かな音を生み出す職人技がぎっしり詰まった楽器と言えます。歴史ある伝統的なピアノ工房では昔ながらの方法を今も残しており、時間をかけ、自然乾燥させた木を用いるそうです。ゆっくりまっすぐ伸びるスプルースという木は約90年で成木となるため、今、製品としてあるピアノは90年前に植林され成木となり乾燥させた木で作られているというわけです。逆に今、植林をしておかないと、90年~100年先の未来のピアノは持続的に造れないということですね。ある調律師さんがこの話が一番好だと言っていたのが印象に残っています。脱線ついでにハンマーのフェルトは羊の毛を固めたものが用いられますが、昨今、良質なフェルトが手に入りにくくなっているそうです。地球環境の変化が原因と言われています。

3.次回から ピアノ録音のポイント

さて、このように複雑な過程を経て私たちの耳に到達するピアノ全体の響きですが、イメージとして理解していただけたでしょうか?次回から、いよいよ

これをマイクで余すところなく収音するにはどうしたらいいか?をテーマに説明をしていきます。よく言われるように、ピアノというのは、ダイナミックレンジが広く、pppから力強いfffまで、美しいpppはしっかり聞き取れるよう、また、どんな豪快なfffであっても歪むことなく録音してあげなくてはいけません。そう考えると人間の耳というのはとてつもなく良く出来ていると改めて思います。言わずもがな「生演奏に勝るものなし」なのですが、レコーディング・エンジニアとしては、生演奏で感じる感動を何とか録音という形で残したいと情熱をかけるわけです。

ちょっと長くなりましたので、今回はここまでにします。ピアノの録音の奥深さを感じていただけたら幸いです。次回は、録音初心者の方でも、ここを注意すればある程度、ピアノ録音がうまくいくポイントをご説明したいと思います。



ピアノレコーディング

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運営統括責任者

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