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執筆者の写真Takahiro Sakai

Luiz Castelões氏 作曲作品 to 藤井亜紀さん 収録

3月1日にタカギクラヴィア松濤サロンで、ピアノ作品の収録をしてきました。今回の収録は、ブラジルの若き現代作曲家 Luiz Castelões氏による作曲・作品で、藤井亜紀さんに贈られたピアノ曲です。地球の裏側から初演依頼のコンタクトが藤井さんに届き、ビデオ作品として初公開したいというお話でした。


こうした遠い国を隔てた作曲家と演奏家のコラボレーションによる新作発表のやり方を見るにつけ、ネット時代がますます地球を音楽で繋げていくことを実感する収録でした。

昨年末あたりより、藤井さんからこの収録のご相談を受けていたのですが、現代曲ということもあり、どう表現するのか試行錯誤しているご様子でした。私の方へは、固定的な先入観をあまり入れたくないという配慮もあったのだと思いますが、曲そのものの情報もなく、ぼんやりとしたイメージばかりが膨らんでいく状態でした。

しかしながら、映像的にどう魅せるかがこの曲を表現するポイントのひとつであると直感されたのか、収録場所のご相談やどのピアノで録音すべきか、映像と音響のマッチングについてとても気になさっているご様子でした。いくつか候補と選択肢を検討しながら、今回の収録を迎えました。

収録の1週間前あたりになって、演奏されたこの曲の音源を聴くことができ、具体的な収録方法を考えることになりました。ピアノの響きが大切なのは言うまでもないですが、時間の流れの中で紡がれる音の構造体が生物のようにたゆたいながら、ゆったりとしながら不思議な音空間を作り出していくような作品で、緻密に作曲されていることを感じさせる一方、演奏の仕方によって偶発性や一回性も期待されているように感じました。当初、演奏動画にいろいろなイメージ画像をコラージュしていくことを検討していたのですが、演奏を聴き終えて、一気に方針転換。演奏者と曲の流れに身を任せて、私も演奏するがごとく一緒に収録してみたい気持ちになりました。




そこで、何度かテイクを重ねて後から編集する手法を捨て、小型ジンバルカメラを片手に演奏と一緒に同時収録することにしました。一発通し収録ですので、かなりリスキーなチャレンジではありますが、むしろ、そうした方法を取る方がこの曲の世界観に合うように思いました。リアルタイムの緊張感も演奏者と一緒に共有しながら収録できます。加えて、部屋の照明も落として、ハンディタイプのLEDライトを使ってこちらも演奏に合わせた陰影を描いていくことにもチャレンジしてみました。

収録した動画をご紹介します。




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