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ホロヴィッツの恋したピアノ“ローズウッド・スタインウェイ”のレコーディング

  • 執筆者の写真: STUDIO 407 酒井崇裕
    STUDIO 407 酒井崇裕
  • 2017年11月26日
  • 読了時間: 3分

更新日:2月13日


11月20~22日にかけて、かながわアートホールでピアノ作品のレコーディングをしてきました。ピアノはホロヴィッツの恋したピアノとして知られる、1887年製・ローズウッド・スタインウェイです。このピアノは、現在は解体されてしまった赤坂にあったキャピトル東急ホテルの “けやきグリル” というレストランに設置されていたピアノです。1986年にホロヴィッツが二度目の来日でこのレストランで食事をした時、このピアノを弾いて「こんないいピアノがあるなら自分のピアノを持って来なくてよかった!」と絶賛したといわれています。その後、このピアノはかつて、カーネギーホールに貸し出されていたコンサートピアノであったことが判明。現在はタカギクラヴィア株式会社が所有し、多くのコンサートやレコーディングで活躍しています。


ホロヴィッツの恋したピアノ

今回のレコーディングでご一緒したピアニストさんは英国在住の方で、ご自身でもビンテージのエラールをはじめ、いくつかの素晴らしいピアノを所有しておられ、ピアノの響きへのこだわりは並々ならぬものがあります。レコーディングを準備する前の来日のタイミングで、実際にタカギクラヴィアを訪ね、ピアノ選定を行いました。収録予定曲とピアノの響きを考えた結果、ローズウッドでレコーディングすることを決定。その後、スケジュール調整やホール予約など具体的なレコーディングのセットアップを進めていきました。

今回のレコーディングでは、タカギクラヴィアの髙木さんからピアノの配置位置についてご提案があり、写真のようにホールの舞台上ではなく、客席後方、ちょうどホールの反響板を眺め見るような場所にピアノを配置しました。角度もホールの対角線上に響きが伝搬し全体に溢れるようなイメージで配置されました。マイクセッティングに入る前に、調律している音を聞きながら、ホールをあちこち歩き回って響きを確認します。このピアノ配置は、打弦した瞬間のノック音の跳ね返りが拡散され、場所によるムラが軽減されます。響きの質もピーキーな角が取れて均一になり美しく伸びていきます。生のピアノの響きをしばらく確認した後、マイクセッティングです。


ホロヴィッツの恋したピアノをレコーディング

ホロヴィッツの恋したピアノをレコーディング

ホロヴィッツの恋したピアノ

事前にホール平面図で、髙木さんとピアノの配置について相談していたので、おおよそのマイクポジションのあたりは付けてあり、メインのステレオペアにニュアンスとアンビエンスを配置するセッティングをしていきます。ピアノ位置とマイクセッティングは3日間、微動だにさせませんので、初日が肝心です。慎重にモニターを聞きながら調整していきます。

ローズウッドピアノが製造された1887年頃は、現代ピアノの前身であるピアノフォルテの時代からまだ程なく、偉大なピアニストが生きた時代でした。彼らの要求に応えるため、ピアノは飛躍的に進化を遂げ、演奏の場もサロンから巨大なコンサートホールへと移り、より大きな音、より高度な演奏に対応できる機構、多彩で豊かな音色を求めてメーカーが熾烈な競争をした黄金期と言えます。モダンピアノはこの時期に完成されたと言っても過言ではないと思います。ローズウッドは、フォルテピアノのテイストを残しつつブリリアントなモダンピアノの響きも兼ね備えており、このピアノでしか出せない世界があります。巨匠時代に生きたピアノをレコーディングすることができて、とても至福に溢れた光栄な時間でした。

セッションは順調に進み、予定の収録を完了しました。この後、OKテイクの編集とマスタリングを進める予定です。

 
 
 

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