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  • Takahiro Sakai

代表的な世界のピアノ・メーカー 豆知識 ③ アメリカ編

更新日:8月21日


ドイツ編に続き、今回はアメリカ編をお届けします。アメリカと言えば、まず何よりスタインウェイ社という巨人があり、現在も圧倒的とも言える存在感を誇っているのはご存じのことと思います。技術的にもビジネス的にもピアノの進化はスタインウェイを抜きに語ることはできません。

アメリカの発展と歩調を同じくしながら音楽業界に強い影響を与えてきたスタインウェイですが、歴史を遡ると、そのルーツはドイツにあります。1940年代後半頃、経済の下降と食料価格の上昇によって疲弊したヨーロッパから、自由と希望を求めてアメリカへと渡った大量の移民の中にいたハインリッヒ・エンゲルハート・スタインヴィック一家がニューヨークで開業した時からスタインウェイの物語が始まりました。19世紀半ば、ヨーロッパからアメリカへは21万3千人もの人々が渡航し、ピアノに携わる人々に限らず、広範な分野にまたがる人々がアメリカを目指しました。閉塞感から解放され、フィロンティア精神に溢れた当時のエネルギーが、アメリカ発のイノベーションや工業化を推し進め、今日の発展を築いたと言えるでしょう。

そうした歴史的背景を反映して、ピアノについても、「伝統的なヨーロッパ」対「革新性のアメリカ」という構図が透けて見えます。今日私たちが目にする現代ピアノは、技術革新と伝統的手法のせめぎ合いを経て現在の完成形に結実していると言えると思います。