Masaé Gimbayashiさんのアルバム・レコーディングが完了しました。前作アルバム“JE TE VEUX ”のレコーディングが2019年9月でしたから、およそ3年ぶりの来日レコーディングでした。この間、新型コロナの影響で、全世界の活動が著しく制限を受けたことは誰もが知るところですが、マサエさんがいらっしゃるフランスも、ロックダウンが断続的に行われる厳しい状況となり、前作アルバムのリリース直後の発売記念ライブもお預けといった状態でした。
世の中が一息ついた今年の初旬にマサエさんから、日本に来れるとの連絡が入り、アルバム・レコーディングの準備に入りました。来日スケジュールには、横濱エアジンとタカギクラヴィア松濤サロンでのライブも含まれており、今回はサックス奏者の石田寛和さんとのセッションも予定。にわかに慌ただしくなって来ました。
マサエさんが無事、日本へ到着した後の8月10日、横濱エアジンでの配信&レコーディングセッション。ライブハウスの老舗、横濱エアジンは、配信ライブ立ち上げからお手伝いしてきたライブハウスなので、馴染みもあり、この場所でマサエさんがどんなパフォーマンスを繰り広げるのか楽しみにセッティングを行いました。カメラワークとスイッチングは横濱エアジンのスタッフさん。連日のライブをこなしている手際のよさは目を見張るものがあります。音声の収録はSTUDIO 407が担当させて頂きました。
続いて8月15日は、横浜市栄区民文化センター「リリス」でアルバム・レコーディング。今回の収録曲は、ドビュッシー、チックコリア、マサエさんに献呈された、Nickos Harizanosさんの曲、奏者である石田寛和さんのオリジナル曲、そして、インプロビゼーションはピアノソロに加えサックスとのデュオと盛りだくさん。
マサエさんのスタイルを考えて、アルバム当初よりピアノは大屋根を外し、オープンワイドでダイナミックなサウンドを狙っていますが、今回のマイクアレンジは、ステージセンターを一直線に突き抜けるマイク・レイアウトを試しました。ピアノの響板から放射された音がマイクを貫くと同時に、ホール全体の響きが左右正確なシンメトリックになるようレーザー墨出し器を用いて慎重にセッティングを行いました。
もうひとつの試みとして、インプロビゼーションのセッションでは、偶然性とハプニングを期待してリアルタイムにイメージ映像をステージ後方に投影して同時収録を行いました。マサエさんが移り行く映像にインスパイアされて演奏を変化させていくのが分かり嬉しくなりました。響きのイメージと映像がピッタリ一致するような場面もあり、狙い通りの偶然性、一回性を収めることができたと思います。
帰国直前の8月20日には、タカギクラヴィア松濤サロンでのライブ収録。このサロンも勝手知ったる場所ですので、セッティングは手早く進みます。ちょうどよい位置に常設の天井マイクホルダーがあるのでサウンドチェックも楽です。ピアノはレコーディングで使用したのと同じスタインウェイ。マサエさんお気に入りのピアノです。
今回、ライブハウス、ホール、サロンと同じデュオを収録したことになるのですが、場所によって様々な表情や響きがあり、それぞれが個性豊かな響きで魅力的な収録となりました。音楽はやはり生きものなんだなぁと思います。
今回レコーディングしたアルバムは編集・マスタリングを施して来年リリース予定です。是非ご期待ください。リリスホールでのレコーディングセッションから一部をご紹介します。
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