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かながわアートホール CDピアノレコーディング Masaé Gimbayashi-Barbotte(マサエ・銀林バルボット)さん

  • 執筆者の写真: STUDIO 407 酒井崇裕
    STUDIO 407 酒井崇裕
  • 2017年9月25日
  • 読了時間: 3分

更新日:2月13日



かながわアートホール CDピアノレコーディング

9月2日の松濤サロンでのライブ収録に引き続いて、9月8日に、かながわアートホールでMasaé Gimbayashi-Barbotte さんのCDレコーディングをしてきました。編集とマスタリングも完了し、無事、フランスのレーベルにマスター・データをお届けすることができて安堵しています。

ホール・レコーディングでアルバムをつくりたいというお話を頂いたのが昨年の11月でしたので、かれこれ10ヶ月ほど準備をして当日を迎えたことになります。フランス在住の銀林バルボットさんとはネット経由で、収録する曲目やイメージする響きを伺いながら、具体的なレコーディング計画を練っていきました。ピアノの選定、収録場所の決定、ピアノ技術者のアサイン、収録方法、来日中のスケジュール、予算枠など、ひとつのレコーディングセッションを計画して具体化するのには、調整する事項が多くなかなか大変ですが、これも楽しみのひとつです。

銀林バルボットさんはクラシックのみならず、現代曲やジャズにも造詣が深く、ジャンルの枠に捉われない自由なピアノを弾かれる方ですので、こちらからも、レコーディングの方法についていろいろご提案しました。伝統的なピアノの収録方法ではなく、新しいピアノ・サウンドを追求するべく、ちょっと実験的な収録方法をご提案しました。と言っても、これまで、様々なレコーディングで試し、好ましい結果を得てきた方法です。


かながわアートホール CDピアノレコーディング

まず、ピアノの大屋根は取り外し、配置はホール・ステージ中央、客席に向かって縦方向にし、少し角度をつけます。マイクは響板がむき出しとなったピアノ上方と、ハンマーが打弦する動きベクトルを考慮した延長線上、そしてホール客席後方で、よい響きがしている場所にマイクを配置します。ピアニストは客席に面と向かって弾く格好となり、打弦で発生した音の波面が、配置したマイクを一直線に通過しホール全体に広がっていく響きを捉えようとするイメージです。


かながわアートホール CDピアノレコーディング

心配だったのは、大屋根を外してしまうので、ピアニストにとっては普段聞いているピアノの音とは違い、音がフォーカスせず、弾きにくくなってしまうのではないかという事でした。そこで、銀林バルボットさんには、事前にこの方法で収録した過去の音源をYouTubeにしたものを聞いて頂き、当日、不安にならないように、得たいサウンドイメージを共有していただきました。参考音源を気に入っていただけたため、この方向で進めることを決定。

もうひとつの心配は、今回ピアノを準備してくれた、タカギクラヴィアさんの受け止め方でした。ピアノのレコーディングに関して、タカギクラヴィアさんは百戦錬磨、多くの経験に基づいた収録方法の情報量は圧倒的です。定石・定番とは違う収録方法を言い出したらどんな反応をされるのか。。と、ちょっと心配でしたが、予想に反し、とても面白がってくれて、あっさり了承。ホール・レコーディングは実験の場でもあるという思いが共有できた感じがしてとても嬉しかったです。後日、ホール図面に収録方法を示した図面をお持ちし、ピアノ搬入に備えていただきました。かながわアートホールは、電動の可動客席を備えているので、収録時には全て座席を収納し、残響を稼げるのも利点です。


かながわアートホール CDピアノレコーディング


完成したマスターは、来年、フランスのレーベル「プラザマイヤーカンパニー」から発売が決定しました。ショパン、ドビュッシー、銀林バルボットさんに献呈された、現代曲(世界初収録)、モーツァルト、銀林バルボットさんのインプロビゼーションと、内容もユニークで斬新なピアノ・アルバムになっています。さっそく音源を聞いたレーベル社長からも高い評価を頂いたとのこと。とても嬉しく今からリリースが楽しみです。

 
 
 

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