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  • 執筆者の写真Takahiro Sakai

府中の森芸術劇場ウィーンホール(ピアノ&Voice レコーディング)

更新日:2021年8月21日


7月10日に府中芸術の森劇場・ウィーンホールで、ピアノと声楽の収録をしてきました。ご依頼いただいたのは小金井音楽アカデミー学院長の玉木豊さんです。玉木先生は、リルケの詩集から想起される世界をピアノと声によって即興で描いていく融合芸術の試みをされています。全9曲、ノンストップ一発録りの収録で、やりなおしなしの一回性の音楽世界です。

2015年から開始したこのプログラムも回を重ねるにつれ、玉木さんのイメージする世界を描くようなサウンドを摸索する試みを続けてきました。各回度、収録音源を聞いた感想や要望を反映するよう、マイク・アレンジやホールの残響可変装置の設定を変えながら調整を続けてきましたが、今回の収録で、ある程度の目標に近づいたように思います。

ウィーンホールの残響可変装置は前回から一段階響きを増す方向で設定し、マイクの音を聞きながら3点吊りのメインマイクの距離と角度を若干変更しました。3点吊りのメリットは、電動のリモコン装置で、マイクの位置を3次元に細かく調整できるところです。一方、デメリットは回線の引き回し距離が長くなるため、どうしてもノイジーになり、直接マイクケーブルをプリアンプに結線した状態よりクリーンな状態を保てないところです。次回の収録ではこの点を改善できないか工夫してみようと考えています。


ウィーンホールの残響可変装置の設定の差異は、残響時間の差もさることながら、音質のキャラクターがかなり違ってきます。こうしたアコースティックバランスによる響きの調節は、デジタル処理で残響を付加するのとは違い、複雑性が大きく異なり、響きの豊かさも深く、レコーディングする楽しみもひとしおです。



玉木先生の演奏と声は、サスティンペダルを踏んだ時に、声とピアノが共鳴して、独特な音場をつくります。加えて、その響きはホール全体に広がっていって、雄大で幻想的な雰囲気を醸し出します。セッティングは、ピアノの大屋根を取り外し、ピアノ上部から放射される音と歌声が融合してホール全体に音が浸透していく音場を捉えるよう工夫しています。収録した中から2曲ご紹介します。




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