12月8日に栃木総合文化センターでヴァイオリン、チェロ、ピアノが織りなすピアノ三重奏の収録をしてきました。今回で34回目を数えるこのシリーズは、チェロの玉川克さんの出身地である栃木で開催となりました。
「名曲に隠れた名曲たち」と題されたこのプログラムは
Vl:小森谷 巧さん Vc:玉川 克さん Pf :黒岩 航紀さん の演奏で
・ショスタコーヴィチ / ピアノ三重奏曲第1番 ハ短調 作品8
・メンデルスゾーン / ピアノ三重奏曲第2番 ハ短調 作品66
・ブラームス / ピアノ三重奏曲第2番 ハ長調作品87
まさにタイトル通りの名曲揃い。加えて、名手の3人が醸し出す音楽は、卓越したテクニックと透明感溢れる響きで、贅沢なコンサートになりました。ときに、挑発的なスパイスも感じられ、静と動を織り交ぜたドラマティックな展開がピアノ三重奏の魅力となって会場を満たしていきました。
栃木総合文化センター・サブホールは何度か訪れていますが、一般的なコンサートホールとは違ってユニークな構造です。響きも普通のホールとはちょっと違います。床は幾つかのブロックに区切られていて独立可動のせり上げが可能になっており、かなり上げることができるとのこと。栃木らしく、迫力のプロレス・ライブも演出できるそうです。通常のコンサートホールにあるようなステージ背面の反響板が無いのですが、広々としたステージ床面が広がって、中央に位置する奏者の響きは上方に放射されてホール全体を満たしていくようなイメージ。ある意味、混濁要素が少なく透明感のあるアンサンブルを演出できるように感じました。照明効果も手伝って広い空間に浮かび上がるような視覚効果も素敵だと思いました。
今回もメインマイクはホール敷設の回線を用いずに一緒に吊ったマイクプリ・I/FからiPhoneにダイレクトにレコーディングするセッティング。ホール音響のご担当者が吊りセットに興味を持って頂いて「一緒に積んであるiPhoneは何ですか?」と。それなりに苦労を経たセットなので、質問されると嬉しいですね。つらつら説明など。その後、スポットマイクの回線がステージのマイクポケットに差し込んであるのを見て、「長いケーブルを出すので直で袖まで引きましょう。あそこからだと、ぐるっと調光室までいって戻ってくるので、ものすごい距離ですよ」と。こういう提案はとてもありがたいです。こちらの意図を理解してくれている。ご提案通りにスポットも直で結線。こんなやり取りひとつでグッと親近感がわいて作業がスムーズに行くってことがあります。
充実した3曲の後、しっとりとしたアンコールで終演し、ご来場のお客様も大満足だったのではないでしょうか。この室内楽シリーズは今後も魅力的な内容でコンサートが予定されているそうです。是非、ご期待ください。
収録した中から一部をご紹介いたします。
メンデルスゾーン / ピアノ三重奏曲 第2番 ハ短調 作品66 1楽章
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